課長のケーキは甘い包囲網
今日、母に呼び出されたのは、俺が商品開発課へ戻って課長になったとしたら、実家の商品も売らないかという話があり、その相談だと言われた。
犬猿の仲だった篠田課長が専務と喧嘩して、転職するらしい。
この間来たときもその話を聞いたのだが、今更俺に戻れとはどの口が言えるのかと言ったら、澄川を辞めさせた責任を取れと言われた。
俺を守るために彼女がやめたんだと、彼女が好きだった篠田は食ってかかってきた。
澄川は新商品開発の重要な柱だった。彼女がいなくなって開発課は空中分解しかけた。
しかも、もう一本の柱だった俺も抜けた。大変だったのは容易に想像がつく。
それを、課長に昇格した篠田がまとめてきたんだが、あいつは正直パティシエとしての実力が足りない。
さらに、口が悪くて周りを使うのも下手だから、結局専務と衝突した。