課長のケーキは甘い包囲網
「はい、なんですか課長?」
「田崎さんを須田が連れてくる。しっかり指導してくれ」
「了解です」
桜井は真面目であまり冗談も言わない。ただ、仕事はできる。正直言って、田崎とは性格が真逆かもしれないが、うまくいくことを祈るしかない。
フロアへ降りてきた須田と新人ふたりは緊張の面持ちだ。
他の部と違い、ここは採用も担当する人事だ。彼らのことはすでに情報が履歴書以上のものが共有されている。つまり、面接内容についてだ。だから、ある程度の予備知識はある。
ただ、それは迎える方だけで、彼らは面接や採用セミナーで見た人しか知らない。ふたりは須田に言われて皆の前で自己紹介を始めた。
「みなさん、仲良くやっていきましょう」
須田が座っている社員達に言うと、皆が拍手で迎えた。