課長のケーキは甘い包囲網

「そう。母さんにはめられてね。というか、父さんの部下だったんだが、ご令嬢でね。大丈夫そんな顔すんな。断ったから。ただし、お前がいることを話してきたから今後こういうことがないようにさせるためにも一度会わせないとまずいだろ」

「そ、それは……確かに。わかりました。覚悟します」

 ぷっ、覚悟しますって何だ?その顔。面白い奴だな。

「よし、そしたら明日急いで荷物を運んで今月末には解約にしよう。来月から俺のところへ住所を変更する。ただし、うちは人事だし、下手やると他の人に知られるぞ。今も春日は黙ってくれているから助かる」

「……ほんとうにそうです。いい人ですね、春日課長」

「まあな、腐れ縁だが、いいやつにはかわりない」

「じゃあ、とりあえずお兄さんに連絡するか?面倒だから実家へ行くか?」

「時期的に来月から忙しくなると思うんです。課長の異動はいつになりそうなんですか?」
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