課長のケーキは甘い包囲網

「ああ、俺も来月だな」

「じゃあ、今月末あたりに思いきって一度帰ります。その時一緒にどうですか?」

「せっかくだから、一泊して帰るかな。周辺を案内してもらってもいいかもな」

「はい、お任せ下さい。どこか宿をとりましょうね。うちに泊まれって言うかもしれないですけど。それでも大丈夫ですか?」

「きっと酒を飲まされるからそのほうがいいのかもしれないな。そっちに任せるよ」

「はい。あ、そうだ。えっとその……」

「なんだ?」

「お見合いの件ですけど、あ、私のほうです……」

「うん」

「お兄ちゃんが言うには、もしかすると何か条件があって、お父さんとそのホテルで話をしているかもしれないというので、一応先に私が父へ聞いてみるつもりです」
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