課長のケーキは甘い包囲網

「うん、それはいいけど、無理なら俺も同席するよ。どんな条件だろうと悪いがお前を渡す気はないんでね。よし。お前の兄さんの持ってきたのを作ろうかな」

「ほんとですか?わーい!」

「何喜んでる?お前、手伝うんだぞ。というか、教えてやるから出来るようになれ。それで実家で手伝って見せてやれ。驚かれるぞ」

「……そんなすぐに出来るはずないし、厨房におそらく入れてもらえません。すごく厳しいんです、父は」

「まあ、そうかもしれないが、家で作って見せたら驚かれるだろ?何しろひどかったもんな、お前」

 本当に、塩と砂糖がよくわかってない女なんて初めて見た。ひどすぎる。まじであのときはこいつとはいられないと思ったときがあった。

 それがどうだ?少し教えただけで、今では結構料理が一通り出来るようになった。やはり血かもしれない。
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