課長のケーキは甘い包囲網
「……うん、そうかな。ああ、美味しい。うちの店めちゃくちゃ美味しいよ、お母さん。東京にも美味しい店あるけど、ここが一番だよ」
「すみれったら。お前は本当にそういうところが変わらなくて、ちょっともう、泣かせないでよ」
お母さんは急に涙を拭ってる!何なの?
「ありがとう。お父さんにもあとでその言葉言ってあげて。きっと喜ぶわ。そうだ、勝俊も夜終わったら来るみたいよ」
「あ、うん。お兄ちゃんも忙しいなら無理しないでって言ったんだけどね」
「……例の話は、あの子にも関係があるからね。今後のことだから。しげさんとも相談しているみたいよ」
「そうなんだ。ねえ、まだそのはなしってあるの?先輩だって彼女さんぐらいいるんじゃない?」
「それがねえ。彼は相変わらずよ。この間も見かけたけど、少し太ったかも。お前は綺麗になるし、まずいわね。会わない方がいいかもしれない」
「……とにかく、断るから。いいよね、お母さん」