課長のケーキは甘い包囲網

「私も彼女とは結婚前提でお付き合いさせて頂いています。よろしくお願いします」

 ふたりでお父さんの前で頭を下げた。まるで結婚の挨拶みたいになっちゃったよ。

「まあ、わかった。失礼だが、沢島さんはおいくつかな?」

「今年三十四になります」

「すみれは確か……」

「十歳下です」

「ふーん。まあ、すみれは頼りないから年上も悪くないが結構離れているな」

「あなた、私達はいくつ離れているか知ってます?」

「むうう……」

「沢島さん、母さん達はひとまわり離れてるんだよ。何も言えないから安心しろや」
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