課長のケーキは甘い包囲網
「良かった、俺だよ、俺!」
「は?」
私の頭の中は急激に?マークが押し寄せた。こんな人知り合いにいた?まさか、バイトの人?違う、大学?すごい勢いで頭の中で顔認証が始まった。いないじゃない。誰?
「中央高校の図書委員で一緒だったろ?長野ホテルの坂田だよ。縁談の話聞いてるだろ?」
「え?まさか……」
「そうだよ。思い出した?」
彼はメガネを取った。あ、そう言われてみればそうかもしれない。坂田先輩。ホテルの御曹司の……ってええ?縁談断ったんだよね、お父さん。どうして?
「ちょ、ちょっと待って下さい、そっちに行きますから……」
「いや、部屋で話をしようよ」