課長のケーキは甘い包囲網

 嫌な予感がしてメールを確認すると、母から先ほど連絡が来ていた。お父さんからさっき聞いたけど、もしかすると会社へ坂田さんが行くかもしれないと書いてある。お父さんが黙っていたから遅くなってごめんと……はあ、会社じゃなくて良かった。

「わかりました。この近くにファミレスがありますので、そこでいいですか?」

 そう言って、彼を案内した。

「とりあえず、食事しよう。君は?」

「お昼食べてないんですか?私は会社で食べてから出てきたので、飲み物だけでいいです」

「なんかスイーツでも頼みなよ。一人で食べるの嫌だから……」

「わかりました」

 そう言って、チーズケーキと紅茶を頼んだ。彼は昼間っからステーキを食べてる。

「それでさ、僕との縁談があるっていうのはわかってたよね?今まで断らなかったし、その気だったよね?」
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