課長のケーキは甘い包囲網

「うちの部署は色んな奴がいて楽しい部署だぞ。田崎さんもかなり面白いから丁度いいだろ?」

 彼女は俺を見て不思議そうに言った。

「あの。どうして私を見ていつも笑ってるんですか?私そんな風に笑われることばかりしてるつもりはありませんけど……」

 俺はあまり笑わないとちまたで言われる鬼課長。田崎を見るたび笑っている俺も変だが、俺相手で最初から言い返す田崎を見て桜井はびっくりしている。

「ごめん、これは思い出し笑い。君の……まあ、いいや。ごめん」

「……なんですか?」

「さてと。じゃあ今日は終わったら定時で帰りなさい。初日だからね、定時で上がっていいよ」

「あの……下の本店って何時まで営業しているんですか?」

「あそこは確か十八時三十分までよ」

「早いんですね、閉まるの……」
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