課長のケーキは甘い包囲網
「和菓子を作るということか?」
「うちとタイアップして一緒に何か和菓子の商品を作って販売しませんか?」
「……君、そんなこと可能なのか?」
「もちろん、企画してから稟議にかけないとダメですが、おそらく通るでしょう。俺が結婚を考えている元部下の実家の料亭。本気だと分かるはずです」
「いい話だが、君が大変だろう」
「すみれを渡さないためです。何でもやります」
「……誠司さん、ありがとう!」
私は嬉しくて叫んでしまった。父はしばらくして言った。
「あちらが何を言ってくるかわからないが、年に一度一時期だけの出店で相談してみよう。菓子の話は後だな。何かあればすぐに連絡しよう」