課長のケーキは甘い包囲網

「うん。まあ、会社にくっつけてやっているようなものだから、通常店舗とは違うのよね。ほら、カフェもあるでしょ。ちょっと接待でお客さんをもてなしたりするから、昼間中心なの。何しろケーキとお菓子でお茶だからね。三時が多い」

「なるほど。じゃあ、急いで買いに行かないと!なくなっちゃうかもしれません」

 彼女はガタンと音を立てて席を立ち上がった。

「え?買いに行くの?」

 桜井があっけにとられて見上げた。

「もちろんです。せっかく本店配属なんですから、本店限定のマカロンをゲットします」

「……はー。あなたも伏見さん二号なのね」

 すると、席に戻ってきたふっくらした伏見がこちらを見て言った。

「もう、遅いわよ。マカロンは売り切れだった。明日昼休みにでも買いに行けばゲットできるかもね。私も負けないわよ」

 立ち上がった田崎は「えー!」といいながら、バタバタと足踏みして残念そうに座った。
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