課長のケーキは甘い包囲網
彼は私に笑って見せた。
電話を切ると私は嬉しくて彼に抱きついた。
「誠司さん、ありがとう」
「いや、まだどうなるかわからないぞ。とりあえず、提案してもらってまた返事が来たら対応しよう」
「でも、新しい商品とのうちのコラボとか、ありがとうございます」
「それも、まだ実現するか未定だぞ。ま、とにかくなんとかするしかない。お前を渡すわけにはいかないからな、その御曹司とやらに俺の存在を示すには新しい商品のコラボがいいと思ったのさ」
「そうなの?」
「この間、料亭のデザートも食べてきてなんとなくアイデアはある。だから、お父さんにラフ案を提示する前に、お兄さんへ先に相談してふたりである程度形にしようかと思っているんだ」
「すごい。そんなことまで考えてたの?」