課長のケーキは甘い包囲網
「やっぱり何か言われたんだな?お前隙だらけだ。男とふたりで飲むとか無防備すぎるぞ。あいつが酔ったフリして送り狼になったらどうする気だった?お前は男の力を甘く見てる」
「絶対それはない。少なくとも、川村君はそんなことするような子じゃないもん」
「どこのお母さんだ?うちの子はそんなことしないとか言うやつだろ。お前はすぐそういうふうに……」
私は彼を押し倒すと彼の上にまたがった。いつもと逆のパターンだ。彼は驚いて目を丸くしている。
「お誕生日は誠司さんのために私がお料理します。それで、何か好きなものをプレゼントしたいの。お願い、変なふうに勘ぐらないで……」
そう言って彼にそっとキスをした。唇を離して彼の目を見たら光っている。まずいと思って身体を起こそうとしたらすぐに背中を押さえられて、逆の体勢になった。彼は私を身体の下にひいた。
「そんな子供みたいなキスでお願いなんて聞いてやらない。聞いて欲しかったらここ二週間お前に無視されてたまった分を全部受け入れろ」