課長のケーキは甘い包囲網
「うーん。いい人というか、意思が固い女だよ。沢島を翻弄したんだ、わかるだろ」
「あんな繊細なケーキを作る人です。課長を庇って辞めたんですよね、きっと」
「まあな、多分。でも、きっぱり別れたくらいだ。沢島とはそこまでではなかったんだろう」
「彼の誕生日ケーキを彼女に作ってもらいたいんです。どうですかね?」
「俺に話すくらいだ。最初からそのつもりなんだろ。紹介してやってもいいぞ」
「本当ですか?」
「ただし、そのことで何かあっても責任はとらないぞ」
「もちろんです。私が内緒で会うだけです」
「お前。怖くないのか?ケーキには二人にしかわからない秘密が多いぞ、きっと」
確かにそうかもしれない……考えなしだったかな……。