課長のケーキは甘い包囲網

「そうですね。怖いけど、やっぱり会ってみたいんです。元カノということを抜きにして私をこの会社に導いたケーキを彼と作った人だから……」

 すると課長が名刺をくれた。

「これを見せて俺の紹介だと言え。おそらくこれで会える」

「ありがとうございます」

 にっこり笑って課長を見た。課長は私を見て苦笑い。

「確かにお前の笑顔はいい。川村が言っていた。見るとほっとするって……」

 そうだ、川村君のこと、武田君の話を念のため課長にした。眉間に皺を寄せて聞いてる。

「そうか。俺も気をつけて見ておく。ありがとな、川村の相談に乗ってくれて。でも、あくまで後輩として付き合えよ。沢島がうるさい」

「当たり前です」
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