課長のケーキは甘い包囲網

 誕生日の一週間前。会社を早めに退社してホテルへ行った。

 久しぶりのツインスターホテル。まっしぐらにまたもやケーキのケースの前へ行く。

 今は何のケーキかな?春だもんね。イチゴのケーキ、オレンジケーキにメロンのケーキもある。すごい。

 店員さんが来た。勇気を出して聞いてみる。

「あの。以前こちらのオレンジとチョコのケーキやイチジクのケーキを食べて、作った方のファンになりました。今回、誕生日ケーキをその方にお願いしたいのですが、可能ですか?」

「もしかして……ちょっとお待ちください。お名前を伺ってもいいですか」

「あ、この人の知り合いの田崎といいます」

 春日課長の名刺を出した。するとそれを受け取った店員さんがちょっとお待ちくださいと言って厨房へ入っていった。

 しばらくして、帽子を被った女性が出てきた。私を見て笑顔を見せた。
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