課長のケーキは甘い包囲網

「ケーキが美味しいからいい人というのは、間違いだぞ!」

「そんなことありません。お話したくさんしてきました。とても素敵な方でした。さすが誠司さんの元カノ。これからは誠司さんらしいケーキをたくさん作って欲しいと言ってましたよ」

「どうして勝手にお前が間に入る?あいつとのことは、過去のことだ」

 吐き捨てるように言った。あ、やっぱり怒った。覚悟していたからしょうがない。

「ごめんなさい。私が彼女に会いたかっただけです。私の入社を決めたケーキを誠司さんと作った人なんですよね。純粋にファンなんです。推しへ会いに行っただけ。桜井さんのように団扇作りたくなるくらい有紀さんのケーキも好きなんですよ」

「何を馬鹿なこと言っているんだ。あいつはな……」

「もういいんですよ。課長のことも私のことも応援してくれるそうです。これで私は安心です。課長が悪いこと出来ないようにしましたよ」

「何を言ってる。悪いことなんかしていないし、これからもしない」
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