課長のケーキは甘い包囲網

「……おい、すみれ!?」

「ありがとう、誠司さん。嬉しい。夢みたい……私の名前の、可愛いお菓子……」

「喜んでくれて嬉しいよ。それと、うちの商品で同じすみれをモチーフにしたクッキーを作って一緒に売る予定だ」

「え……!」

「坂田長野ホテルはきっと初夏から人が大勢くるぞ。料亭から夏の時期だけ二ヶ月お兄さんがホテルに店を出す。和菓子の練り切りは料亭の名前、洋菓子のクッキーはうちの店の名前で一緒に売る予定だからな」

「そうなんですか?いつの間に……色々ありがとうございました」

「礼はいらないぞ。俺は親族になるんだからな」

「……誠司さん」

「そろそろ公表する覚悟をしておけ。俺へのプレゼントは公表を許可すること。実際には来月の月末あたりだな」

「……」
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