課長のケーキは甘い包囲網
「特別な人か、課長の恋人、とか……私ごときが座るのは申し訳ないです」
課長は車に頭をつけて固まってる。どうしたのかな?
「いいから隣に乗れよ。お前は今日からルームシェアをするほどの特別な部下だ」
「特別って……本当にすみません。ご迷惑かけないようすぐに家を捜します」
「慌てなくてもいいから。それに、特別以外になる可能性もゼロではないぞ」
ニヤッと笑ってサングラス越しにこちらを見ている。特別以外になる可能性?干物女子なのだから家政婦も無理だとご存じのはずだ。
「お前。目がくるくるしてる。また、変なこと考えてるだろ。はあ……」
「とにかく、とっとと行きましょう。そして、とっとと引っ越し先を決めて出て行きますから」
課長が私をすごい目で見てる。
「そうだな。ここで漫才するのは恥ずかしすぎる。とっとと乗れ……よし、出るぞ」