課長のケーキは甘い包囲網

「まあ、いいじゃないですか。私、唯一少しは掃除ならできますから、言って下さい」

 あ、ひどい目で見てる。

「いや、いい。お前に家事は期待していない」

 あ、きっぱり言ったな。まあ、そうでしょうね。

「じゃあ、何をすればいいんですか?」

「そうだな、俺に癒やしと笑いを提供してくれ」

「何ですそれ?私は癒やし系女優でも、お笑い芸人でもありません」

 ぴょんぴょん跳びはねて、手をパタパタ動かして見せた。

「ふっ、あはは……それでいい。十分だ。俺の前ではそうやって、えくぼを見せて笑っていてくれればそれだけでいい」

「課長って、よっぽど空虚な生活なんですね。可哀想に……」

「おい、変な勘違いすんな。よし、部屋を案内する」
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