課長のケーキは甘い包囲網

「別にそのままのほうがいいんじゃないか。そうしたらあっちから縁談破棄してもらえるかもしれんぞ。こんな使えない嫁いらないとか言われたりして……」

「え?そ、それは、その……」

「大体、料理を習うのが縁談の為っていうのが気に食わん」

「ずっとコンプレックスだったんです。一番は自分のためです!」

「親御さんに俺が彼氏のフリでもしてやろうか?そうしたら縁談がなくなるかもしれないぞ。とりあえず同居していると話したらうまくいくんじゃないのか?」

「それは魅力的なおはなしですが、うちのお父さんはもしその話を聞いたら、課長と結婚するものだとすぐに勘違いします。同居なんて言ったらすぐに婚約しろと言いそうです。そうしたら今度は、課長が好きでもない私との縁談を押しつけられる羽目になります」

「まあ、そこはうまくごまかしたらいいんじゃないか。とりあえず、縁談を回避できれば問題ないだろ」

「付き合っているフリをして、縁談がなくなったら、別れたという説明で乗り切るということですか?」
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