課長のケーキは甘い包囲網

 私はビシッと立って、右手を上げた。

「わかった。特別に弟子にしてやる。厳しいから覚悟しろよ。では、今日からやろう」

「ええ!?今から?」

「まずは、うまいコーヒーとお茶の入れ方からだ」

「え?」

「お前の家で俺がいれたコーヒー飲ませただろ?うまいとおもっただろ?」

 確かにその通り。びっくりするくらい美味しかった。今も美味しい。水のせいかなとか思ってたけど違うのか、やっぱり。

「こっちへ来い」

 そう言うと、ドリップのコーヒーの入れ方を教えてくれた。コーヒーメーカーに頼らず、入れる方法。

 なるほど、蒸らしてそれから入れていく。ふむふむ。私みたいにお湯をドバドバ入れたらだめなんだな、やっぱり。ゆっくりと注意深さが何より大切なんだ。
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