課長のケーキは甘い包囲網
「たいしたことないので、大丈夫です。課長は休んで下さい。ありがとうございました」
お礼を言うため頭を下げたら、その頭を撫でられた。まるで子供みたい。
「報酬の代わりに、明日からはお前がお茶やコーヒーを入れてくれ」
「はい、頑張ります」
「まずかったら、ペナルティーもらうぞ、本気でやれ。そうじゃないとお前は身につかない」
「はい」
「よし。じゃあ、後頼んだぞ。それと家探しだが料理を学ぶ間はうちにいろ」
「え?」
「じゃあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさい……」
翌日から課長に料理を教えてもらい始めた。
最初は塩と砂糖を間違えたりして、本当に呆れられた。
だが、課長の前だと恥をかいてもいいかと思えるのが不思議だった。