課長のケーキは甘い包囲網

 課長も自分の手伝いをさせながら丁寧に教えてくれた。

 一ヶ月後には助手として、少しは野菜を上手に切れるようになってきた。

 課長は教えていく順序を表にして見せてくれた。半年で大体のものは作れるようにするというプロジェクトだと言われた。すごすぎる。

「これに沿って教えていく。やる気が出るだろ?」

「私って本当に何も出来なかったんですね。でも、頑張ります。そうすれば女子力もアップして、自力で結婚相手を見つけられるかもしれない」

「縁談があるじゃないか」

「だから、それは……自分で相手を選びます。あの縁談相手は嫌なんです」

「ふーん」

「師匠、よろしくお願いします」

 エプロンをして、課長の横に立った。
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