課長のケーキは甘い包囲網

「なんだか、お前を教えているうちに、俺も初心を思い出してきた。ようやく、もう一度やってみようという気になってきた」

「何をもう一度やるんですか?」

「それは……」

「それは?」

「いいから、ポンコツのお前は人のことを気にしている場合ではない。今日はまずあえものから教えていく。きちんと覚えろよ」

「はい」

 課長に敬礼した。うむうむと満足そうに私を見る課長。

 私達ってよくわからない関係になってきたけど、相性だけは上司と部下として最高なんだと思う。

 だって、料理も習うって……恥ずかしいけど、私にとっては最高の師匠だよ。
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