なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。
☆☆☆

「私に言わないといけなことがあるんだよね?」


一応お茶なんて出してみたけれど、知明はソファに座ったまま落ち込み続けている。
これじゃ埒があかない。

彩はふぅと息を吐き出して自分の気持を落ち着けた。
1度目の6月12日も、2度目の6月12日も、自分がヒートアップしたせいで知明とはろくに会話もできなかった。

今回は3度目の正直だ。
感情的にならずにちゃんと向き合わないといけない。

そう思うと少し怖いけれど、これは避けては通れない試練だった。


「さっきの会話でわかってると思うけど、チカゲとふたりで会ってたよね?」


知明はコクンと頷く。


「誰もいない講義室で、なにしてたの?」


その質問に知明は明らかに動揺を見せた。
視線が泳いて何度も居住まいを正す。
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