なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。
「ほら、こっちも食べてみて」


バニラしか食べたことがない由佳に自分のソフトクリームを差し出す。
由佳はプラスチックのデザートスプーンで抹茶味のソフトクリームをすくって口に入れた。
チョコレートの味で口の中が甘くなっていたところに、抹茶のほろ苦い、大人な味が広がっていく。


「あ、これもおいしいかも!」


それも初めての発見だった。
チョコレートも抹茶もおいしい。

けれどそれをミックスさせたら更に美味しい。


「だろ? 由佳はもっと色々チャレンジしてみたらいいよ。食べ物だけじゃなくてさ」


そう言われて由佳はチョコレートのソフトクリームに視線を落とした。
確かに、今まで自分は安定感を求めることが多かったかもしれない。

高校卒業と同時に今の介護職についたのも、学校で見た求人が一番多い職種だったからだ。
お年寄りのことは嫌いじゃないし、体力的にも自信がある。

なによりも在学中に勉強して資格を取ることができたことが大きかった。
< 69 / 92 >

この作品をシェア

pagetop