なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。
みんなそんなものだと思って就職したのだけれど、どうやら達也は違ったらしい。


『俺、すっげーおばぁちゃん子だったんだ。幼稚園の頃からもうべーったりでさ。そんなおばあちゃんが倒れたときすげー悲しくて、大泣きした』


まだ付き合う前、一緒に昼食を食べていたときに達也はそう教えてくれた。
そっか、達也はちゃんとこの仕事に着きたいと思って頑張ってきたんだ。

亡くなったおばあちゃんへの感謝の意味もあるのかな。
そんな風に感慨深い気持ちになったとき、不意に達也がスマホを見せてきた。


『これがそのおばあちゃん!』


達也と1人の老婆が縁側に座ってお茶を飲んでいる写真だ。
ほのぼのしていて、写真の中からゆったりとした空気が流れ出てきているみたいだ。

それを見た由佳は一瞬眉を寄せた。
写真の中の達也はどう見ても今の達也と変わらない姿をしている。
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