なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。
つまり大人になっているのだ。


『もしかしてまだ生きてるの?』


そうきくと達也は目を丸くして『当たり前でしょう? 俺のおばあちゃんが死んだなんて、不吉なこと言わないでよ』と、顔をしかめた。

さっきの話の流れからてっきり亡くなったのだと思いこんでいた。
達也の祖母はまだ健在だそうだ。

『今の内にしっかり仕事して、それでおばあちゃんが寝たきりになったらちゃんと介護できるようになるんだ』
達也の目標はそこにあった。

だから一生懸命仕事をするのだと、誇らしげに言っていた。
達也にとっては介護職は間違いなく自分へのチャレンジだったんだろう。

それに比べれば由佳は安全そうな方へ流されただけだった。
達也と付き合い始めたのだって、結局は同じ職場で真面目で同年代の男性という定番のレッテルがあり、また定番通りに達也に惹かれる自分がいたからだった。


「私ってそんなにチャレンジしてないかなぁ」


思い出せば思い出すほど落ち込んでいく。
考え込み過ぎてチョコレートのソフトクリームは溶け始めていた。
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