なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。
☆☆☆

電車の中で眠ればまた《今日》の朝になっているかもしれないと思ったが、普通に夜の駅に降り立った。
時刻を確認すると、車で帰宅したときよりも30分ほど早い。

余計な寄り道をしないせいだろう。
駅から家まではバスを使った。

バス停から家まではほんの一分ほどの距離だ。


「ただいまぁ」


リビングにいる両親に声だけかけて、顔を除くことなく自室へ向かう。
胸の中には重たい鉛がまだ残っていて、心はひどくささくれ立っている。

恋人からのプロポーズを反故にしたのは自分なのに、それがこれほど自分を攻撃してくるとは思ってもいなかった。
ベッドに寝転んで深くため息を吐き出す。
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