なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。
「そんなことない。だけどなんだか、胸の中がすごく重たくなって、憂鬱な気分になって……」


4度目だからとは言えなかった。
4度目で、どうしてこんな感情になったのかもわからない。

そんな様子の由佳を見て、「ちょっと待っていなさい」と一声かけて部屋を出ていく。
由佳が涙を拭っていると、母親はすぐに戻ってきた。

手には分厚いアルバムを持っている。


「これを見て」


そう言って白い表紙を開くと、そこには結婚式の写真が貼られていた。


「これ、お父さんとお母さん?」


まだ20代前半だろうか。
とても若い両親の写真に自然と笑みが溢れる。

若いけれど、ふたりともしっかりと面影がある。
母親は純白のドレスを着て、父親も白いタキシード姿だ。
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