なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。
写真は少し色あせているけれど、その姿は眩しいくらいだ。


「そうよ。結婚式のときの写真」

「お母さん綺麗だね」

「当たり前でしょ。お母さんは今でも綺麗なんだから」


冗談を言いながらページをめくる。
写真の中のふたりは常に寄り添い、微笑んでいる。


「ふたりとも幸せそう」

「そりゃそうよ。人生で一番幸せだった」


そう言われてまた由佳の心が重たくなる。
自分はずっと7月1日を繰り返している。

だからこんな幸せな時間を味わうこともできないんだろうか。


「でもね、それまでは色々あったのよ」
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