なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。
「付き合ってたときのこと?」


聞くと左右に首を振られた。


「プロポーズを受けてからのことよ」

「どういうこと?」


首をかしげて質問する。
プロポーズを受ければ後は結婚まで一直線だ。

やることはあれこれあると思うけれど、準備期間はとても楽しいはずだ。


「普通はね、楽しい時間だと思うでしょう? だけどお母さんマリッジブルーになっちゃってね」

「そうなの!?」


今の母親を見ていると、とてもそういう風には見えない。


「そうよ。だって結婚することで自分の人生は大きく変化しちゃうでしょう? それで、本当のお父さんでいいのかって考えちゃって、ご飯も喉を通らないときがあったわ」


懐かしそうに目を細める。


「それでも結婚したの?」

「そうよ。だって、マリッジブルーになったからって結婚を取りやめなんて考えられなかったもの。だからお母さん、とにかくお父さんに当たり散らしたの。あなたのこういうところが嫌。こういうところを変えてほしいって」
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