【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「そ、そこまでしていただくわけには」
「そう? いつでも気が変わったら言ってくれ――」
「クリス、少しいいかしら」
会話の合間に柔らかく挟まれた声は母シゼリカのものだ。
済まなそうに眉を下げるその姿から何を伝えに来たのかが何となく知れた。
恐らく妹の、ミーミルのことだろう。
「あの子の様子が気になるから、私はこれで失礼するわね。エルシア、楽しんでくれているかしら?」
「は、はい! 皆様にはとっても良くしていただいています! それに、お料理もとっても美味しいです!」
「それならよかったわ。困ったことがあったらクリスに何でも言いつけて頂戴。この子、ずいぶんとあなたのことを気に掛けているみたいだから。では、心置きなく宴を楽しんでね」
「は、はい」
母上はぼんやりとしたエルシアに嫣然とした笑みを向け、どこか嬉しそうに去ってゆく。
あの人も、何を考えているか分からないところがあるから困ったものだ。思わせぶりなことを言うからエルシアが気にしてしまったので、私は話題を逸らすように妹ミーミルの容態を口にした。
「そう? いつでも気が変わったら言ってくれ――」
「クリス、少しいいかしら」
会話の合間に柔らかく挟まれた声は母シゼリカのものだ。
済まなそうに眉を下げるその姿から何を伝えに来たのかが何となく知れた。
恐らく妹の、ミーミルのことだろう。
「あの子の様子が気になるから、私はこれで失礼するわね。エルシア、楽しんでくれているかしら?」
「は、はい! 皆様にはとっても良くしていただいています! それに、お料理もとっても美味しいです!」
「それならよかったわ。困ったことがあったらクリスに何でも言いつけて頂戴。この子、ずいぶんとあなたのことを気に掛けているみたいだから。では、心置きなく宴を楽しんでね」
「は、はい」
母上はぼんやりとしたエルシアに嫣然とした笑みを向け、どこか嬉しそうに去ってゆく。
あの人も、何を考えているか分からないところがあるから困ったものだ。思わせぶりなことを言うからエルシアが気にしてしまったので、私は話題を逸らすように妹ミーミルの容態を口にした。