【WEB版】追放したくせに戻ってこい？ 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります！ めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく

「ミーミル様、あ～んしてくださいます？」
「んぁ……」
「安静にしてしばらくすれば症状も治まるのだが、これでは安心してご公務にも励めまい。何よりお辛そうでな。どうにかして差し上げることはできんか」

　少しばかり私は考え込んだ。
　部屋の様子から見るに、この国の医療設備は私の国とそう変わらないように思える。人体における知識などもセーウェルトのものとそう変わらないようだし、彼らが原因不明と判断した症状を……正直あまり治せる自信はない。
　
　だが、目の前ではこんな幼い女の子が縋るような目で見ているのだ。
　せめて、原因を探す努力はするべきだろうと思った。

「わかった。それじゃしばらく時間を貰える？　彼女に付いて、どんな生活を送っているのか見て、病気の原因を探してみたいの」
「ふむ、ならば陛下と王妃には我輩から話を通しておこう。ミーミル様、よかったですな。もう少ししたら退院ですが、その後もこやつが身の回りについていてくれます。何かあっても心配は要りませんぞ」