【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 プリュムの聖女の務めに対しての取り組み方は真剣そのもので、大怪我にも眉ひとつ動かさず果敢に立ち向かう強い心を持っている。もちろん他の皆もそうだ。私など居なくても皆これからも立派にやっていくだろう。

 しばらくしてプリュムは目元を拭い顔を上げた。

「お辛いのはエルシア様なのに、すみませんでした。手紙……ですか? 王都に留まらず、どこか旅に出られるのですか?」
「ずっと狭い世界ばかり見て来たし、世間知らずを直そうかなって」
「それはいいですね。私ももし時間があったら一緒に付いていきたいくらいですけど……」

 彼女は後ろを振り返る。
 今も続々と、大聖堂には病人が運ばれている。
 あまり聖女たちに長く席を外させるわけにもいかない。

 私は集まってくれた彼女たちと一人ずつ握手を交わして声を掛け、今後の活躍を祈る。せっかくだし、前途を祝して聖句の一節でも彼女たちに贈ろうか。

「癒しの祝福は正しき御心の元にこそ宿らん……。優秀なあなたたちならきっとこの先も多くの人の命を救っていける。それを誇りに思って、これからも頑張ってね!」
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