【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 王妃そっくりな顔立ちのミーミル様が両親を見上げて言う。

「お父様、お母様、頑張ってくれたエルシアに何かご褒美をあげて?」

 すると愛情たっぷりの笑顔でふたりは頷いた。

「もちろんよ。エルシア、何か希望があったら言ってちょうだい」
「そうじゃそうじゃ。儂らに出来ることがあればなんでも言ってみよ」

 この言葉に私はまたしても困ってしまった。
 陛下を助けた時もそうだが、別に何かが欲しくてやっていることではなく、私が彼らを治療できたのはたまたま巡り合わせがよかっただけだ。

 それに正直私は働くとことで対価を貰うのに慣れていない。
 向こうではずっと、ただただ勤めをこなすだけで精一杯だったから。
 
 流石に自覚し始めているが、私は必要なもの以外に対する物欲が徹底的に低い。だから欲しいものを問われると非常に困る。金銭とか資産には興味が無いし……でも王女の手前ではあるし。そうだ!
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