【WEB版】追放したくせに戻ってこい？ 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります！ めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく

「なら、この城の外に一人で出る許可をいただけませんか？」

　私はもっとこの国のことを知りたいと思ってる。だから、ここだけじゃなく……外に出て、ジュデットの人たちがどんな生活をしているのかを見てみたい。

　しかし、そのお願いに、陛下は渋い返事を返した。

「済まぬが、今はそれに応えることは出来ん。もし何かあってお主の存在が外に知られてしまってはならんのでな。クリスフェルトにその準備をさせておるから、少し待つがよい」
「準備ですか……」

　外に出る準備ってなんなのだろう。私に変装でもさせるつもりなのだろうか。でもそれならあれだけ立派な衣装部屋があればすぐに整いそうなものだけど。

　考え込んだ私の前で、陛下の膝から王女がぴょんと飛び降りる。

「私、兄様嫌い！　いっつも私を除け者にするんだもの！」