【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
机の上で背中を丸めていた作業服姿の男性は、ベッカーの声にびくっと背中を竦めた後振り向く。そして私の姿を認め、目を丸くした。
「おやおや、ベッカーさん。そしてセーウェルトの聖女様ではないですか。どうしてこんなあばら家に彼女をお連れになったんです?」
「こいつが薬草や薬に興味があると言っていたのでな。お前と気が合うかと思って連れて来たのだ」
「なるほど。ええと、確かエルシアさんでしたか。いつぞやはどうも」
「えっ……ええと」
目の前の大人しげな顔をした柔和な男性。茶色の柔らかそうな髪に丸眼鏡、萌黄色の明るい目をしたその人は、私の姿を認めてまるで話したことがあるかのように挨拶する。
こんな人、城の中でも会った覚えはほとんどないんだけれど。どうにも思い出せなくて私は直接彼に聞く。
「すみません。その……以前どこかでお会いしました?」
「……あれ? 覚えていらっしゃいませんか? 宴の時に……」
「宴……?」
「おやおや、ベッカーさん。そしてセーウェルトの聖女様ではないですか。どうしてこんなあばら家に彼女をお連れになったんです?」
「こいつが薬草や薬に興味があると言っていたのでな。お前と気が合うかと思って連れて来たのだ」
「なるほど。ええと、確かエルシアさんでしたか。いつぞやはどうも」
「えっ……ええと」
目の前の大人しげな顔をした柔和な男性。茶色の柔らかそうな髪に丸眼鏡、萌黄色の明るい目をしたその人は、私の姿を認めてまるで話したことがあるかのように挨拶する。
こんな人、城の中でも会った覚えはほとんどないんだけれど。どうにも思い出せなくて私は直接彼に聞く。
「すみません。その……以前どこかでお会いしました?」
「……あれ? 覚えていらっしゃいませんか? 宴の時に……」
「宴……?」