【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
確かにあの時は酔っぱらっていたし、大勢から挨拶を受けたので覚えていないのも無理はない。そのことを私が彼に謝ろうとした時、隣りにいたベッカーが口を挟む。
「ローエンよ。あの時は夜だったろう」
「……あ! そうだったそうだった。失礼しましたエルシアさん、実は僕、特殊な魔族で、夜は今と姿ががらりと変わってしまうんです。それで、熊のような姿をした魔族が挨拶に来たのを覚えていらっしゃいませんか?」
彼がはにかむように頭をこすり、私はその時の事を思い出す。確かに人並外れた体格の熊の姿の男性が挨拶に来て驚いた。そして記憶にあるその姿が、徐々に彼と重なり……その瞳の色が一致する。
「あ、あの人だったんですね!?」
「思い出していただけましたか。僕はローエン・グレンハイム。王宮付き薬師として、この薬草園の管理を生業としています。改めてよろしくお願いします」
そう言って彼は分厚い作業手袋を外し、私に手を差し出す。
人好きのしそうな黄緑の目が顔の中心で、窓から差し込む光を吸い込んだように温かく輝いていた。
「ローエンよ。あの時は夜だったろう」
「……あ! そうだったそうだった。失礼しましたエルシアさん、実は僕、特殊な魔族で、夜は今と姿ががらりと変わってしまうんです。それで、熊のような姿をした魔族が挨拶に来たのを覚えていらっしゃいませんか?」
彼がはにかむように頭をこすり、私はその時の事を思い出す。確かに人並外れた体格の熊の姿の男性が挨拶に来て驚いた。そして記憶にあるその姿が、徐々に彼と重なり……その瞳の色が一致する。
「あ、あの人だったんですね!?」
「思い出していただけましたか。僕はローエン・グレンハイム。王宮付き薬師として、この薬草園の管理を生業としています。改めてよろしくお願いします」
そう言って彼は分厚い作業手袋を外し、私に手を差し出す。
人好きのしそうな黄緑の目が顔の中心で、窓から差し込む光を吸い込んだように温かく輝いていた。