【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
彼らの抗議の叫びが大きく響く。
もう訳が分からないといった感じだ。鉢植えと私の顔との間で視線を何度も往復させる。そんなふたりのうろたえぶりに苦笑した後、私は種明かしをして見せた。
「実はね……陽炎草を芽吹かせることが出来るのは、聖女の力だけなの」
「なんだと!?」
「聖女の!? ああ……ど、道理で……いくら十分な栄養価の土の下で育てようとうんともすんとも言わないわけだ……」
そういうことです。
さっきしたことは手をかざした際、地中の種に小さく聖女の力を込めただけ。
傍から見ただけの二人は何が起こったのか分からなかっただろう。
「……なるほどな。どこの国でも陽炎草の生育や栽培が行なわれていないのは、セーウェルト王国にしか聖女がいないせいだったか」
「でもでも……まさか、この目で陽炎草の発芽が見られるなんて、感動ですよ」
感慨深そうにベッカーは息を吐き出し、ローエンさんは潤ませた目をごしごしこする。
もう訳が分からないといった感じだ。鉢植えと私の顔との間で視線を何度も往復させる。そんなふたりのうろたえぶりに苦笑した後、私は種明かしをして見せた。
「実はね……陽炎草を芽吹かせることが出来るのは、聖女の力だけなの」
「なんだと!?」
「聖女の!? ああ……ど、道理で……いくら十分な栄養価の土の下で育てようとうんともすんとも言わないわけだ……」
そういうことです。
さっきしたことは手をかざした際、地中の種に小さく聖女の力を込めただけ。
傍から見ただけの二人は何が起こったのか分からなかっただろう。
「……なるほどな。どこの国でも陽炎草の生育や栽培が行なわれていないのは、セーウェルト王国にしか聖女がいないせいだったか」
「でもでも……まさか、この目で陽炎草の発芽が見られるなんて、感動ですよ」
感慨深そうにベッカーは息を吐き出し、ローエンさんは潤ませた目をごしごしこする。