【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
17.元大聖女、王女様の悩みを知る
ある日、私が城内を散歩していると、偶然クリスフェルト殿下の姿を見かけた。
どうやら、配下の方とちょっとした言い争いになっているらしい。
私は気軽に声が掛けづらくて、なんとなくその辺の物陰に身を潜めてしまう。
『君もしつこいな。本日は危険な場所に赴くわけではないから、護衛は必要ないと言ってるだろう』
『ですがその……我々にも仕事がありますし、万が一ということもあり得ます! せめて二、三人は周りを守る者をお連れ下さい!』
『不要だ。私は自分の身くらいは一人で守れる。それに……私の腕に劣るものを連れて行っても仕方あるまい。せいぜい矢除けにしかならないだろう。それとも……君が今私と模擬戦でもして、自分の方が腕が上だということを証明してみせるか?』
実力を見せつけるように陛下は剣の柄を叩き、その兵士は口ごもる。
『それは……』
『わかったら、隊長にも連絡しておいてくれ。私が必要だと判断したらその時にまた呼ぶ。ではな』
殿下は美しい顔に冷淡な表情を浮かばせると、肩を落とす兵士を残し、城の外に向かって歩いていく。
どうやら、配下の方とちょっとした言い争いになっているらしい。
私は気軽に声が掛けづらくて、なんとなくその辺の物陰に身を潜めてしまう。
『君もしつこいな。本日は危険な場所に赴くわけではないから、護衛は必要ないと言ってるだろう』
『ですがその……我々にも仕事がありますし、万が一ということもあり得ます! せめて二、三人は周りを守る者をお連れ下さい!』
『不要だ。私は自分の身くらいは一人で守れる。それに……私の腕に劣るものを連れて行っても仕方あるまい。せいぜい矢除けにしかならないだろう。それとも……君が今私と模擬戦でもして、自分の方が腕が上だということを証明してみせるか?』
実力を見せつけるように陛下は剣の柄を叩き、その兵士は口ごもる。
『それは……』
『わかったら、隊長にも連絡しておいてくれ。私が必要だと判断したらその時にまた呼ぶ。ではな』
殿下は美しい顔に冷淡な表情を浮かばせると、肩を落とす兵士を残し、城の外に向かって歩いていく。