【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 小さな両手でぺしぺしとこちらのお腹を叩いてくる彼女は大層可愛らしかったが、次期王女の行動としてはあまり褒められたものではないので窘めておく。まあ、別に城の中からいいんだろうけどね。

「はぁはぁ。ところでエルシアこそ何してたのよ」
「私も野次馬です。少し殿下が誰かと言い争うような声が聞こえたので……」
「ふぅん……」

 ミーミル様は少し疑わし気な視線を向けた後、それを意味ありげなものに変え、私に尋ねた。

「エルシア、今日は時間は空いてる?」
「はあ……特に予定はありませんが」

 今日はベッカーからお休みを頂いているので、特に予定は無いけれど……。
 それを伝えると、ミーミル様の口元がにまっと吊り上がる。

「それじゃ、私に付き合いなさいよ! 今日はお稽古はお休みで、退屈してたの!」
「私なんかでよいのですか?」
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