【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
その後、私たちは城を守る城壁の上で椅子に座り、王都の街並みを並んで写生していた。
「エルシア、そこの建物の屋根、斜めに曲がってなぁい?」
「ええ~、そうですか? でもミーミル様だって、大通りがふにゃふにゃで、トカゲの尻尾みたいになっちゃってるじゃないですか」
「私のはいいんだもん。見たものをそのまま写したって面白くもなんとも無いじゃない。芸術は心のままに描いてこそよ」
何だかませたことを言うミーミル様に苦笑しながら、私は眼下の街並みを写し取っていく。
しかしうまくいかない。私にどうやら芸術的分野の才能はないみたい。妃教育の時とか、さっきの演奏もそうだけど、結構練習したのに音は外すわ間は取れないわでミーミル様や他の侍女にもくすくす笑われてしまったし。
「ね……エルシアには、他の兄弟はいないの?」
気付くと、飽きたのか画板を放り出してミーミル様がこちらに寄ってきていた。
彼女はいそいそと、私の膝の上に座り込み、私も少し絵を描く手を止めた。
「エルシア、そこの建物の屋根、斜めに曲がってなぁい?」
「ええ~、そうですか? でもミーミル様だって、大通りがふにゃふにゃで、トカゲの尻尾みたいになっちゃってるじゃないですか」
「私のはいいんだもん。見たものをそのまま写したって面白くもなんとも無いじゃない。芸術は心のままに描いてこそよ」
何だかませたことを言うミーミル様に苦笑しながら、私は眼下の街並みを写し取っていく。
しかしうまくいかない。私にどうやら芸術的分野の才能はないみたい。妃教育の時とか、さっきの演奏もそうだけど、結構練習したのに音は外すわ間は取れないわでミーミル様や他の侍女にもくすくす笑われてしまったし。
「ね……エルシアには、他の兄弟はいないの?」
気付くと、飽きたのか画板を放り出してミーミル様がこちらに寄ってきていた。
彼女はいそいそと、私の膝の上に座り込み、私も少し絵を描く手を止めた。