【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 色気たっぷりの流し目に口元を抑えながら、私は自室に駆け込む。
 すると、そこにはにまにまと笑う二人の侍女が待機していた。

「おやおやエルシア様どうしたのです。そんなに真っ赤になって」
「だって……! クリスフェルト殿下って改めて見ると凄いんだもん。なんで男の人なのにあんなに色っぽいの!? ずるくない!?」
「お気持ちは分かりますが、先ずはお支度を整えてしまいましょう。殿下をあまりお待たせしては私たちの懐が寂しくなってしまいますので」

 私も自分のせいで彼女たちのお給金がカットされるのは忍びない。殿下の美貌に対する反応に満足したミーヤとメイアに素直に服を引っぺがされ、適当なものを見繕われ始める。今回は街に出るので謁見の時よりはラフな格好にするようだが、それでも要所要所はちゃんと抑えている。

「前回はメイアが選んだものを御採用になられましたので、今回は私が」
「ち、ちょっと派手じゃないかしら!?」
「いえいえ、この位でないと、逆に殿下の美貌が浮いてしまいます。エルシア様も綺麗なお顔と髪をお持ちなのですから、自信を持って振る舞えばよろしいのですよ?」
「うぅ……」
< 166 / 471 >

この作品をシェア

pagetop