【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
 どうやら、今回私に選択の余地は残されないようだ。裾が街中で邪魔にならないようにという配慮だろうか、パンプキンカラーのドレスは膝元できゅっとすぼまるマーメイド調のもの。靴も同色のパンプスに履き替えさせられ、耳と首元には小粒のピンクパールで出来たアクセサリを付けてくれる。

「ほーら、これで殿下と並んでもきっと見劣りしませんとも!」
「ううむ、やはり明るい配色のコーディネートはやはりミーヤの方に軍配が上がりますわね。よい出来栄えです」

 手早く準備を整え、鏡の前の私を批評するミーヤたち。
 いやいや、勝手に私を勝負のお題にしないでいただきたい。
 
 ともあれ、準備万端整った私は二人が用意してくれた白い手提げかばんをひっつかむと、急いで部屋を出ようとする。ああっと、折角ベッカーから頂いたお給金も持って行かないと。

「ふたりともありがとう! それじゃ行ってきます!」
「楽しんでいらっしゃいませ~!」
「本日はお帰りにならなくても結構ですわよ!」
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