【WEB版】追放したくせに戻ってこい？ 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります！ めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく

「楽にしとくれ」
「はあ……」

　自分はどっかりと奥に腰掛け、彼女は私にも同じようするよう促す。
　高級ソファのしっとりとした柔らかい皮が、私の身体を柔く受け止めた。

　そして私たちはなんとなくお茶をすすりながらお互いを観察し合う。
　こちらが気になったのは、彼女のお顔の中心にある魔女的に尖った特徴的なわし鼻だ。もしかしたらこれも魔族ならではの身体変化なのかなどと、まかり間違っても聞くことはできないけど。

　一方プリシラさんの方もこちらを不審そうに見た後、少し首を傾げた。

「あんた、セーウェルト人ってことじゃなかったっけね？」
「ああ、そうでした」

　私は指摘を受け、素直に殿下から頂いた金のブレスレットを外した。私からはわからないが、そこには確かに変化があったようでプリシラさんは軽く目を見開く。