【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
少数の護衛を引き連れ王都を散策していた殿下と王女はある日、不穏分子に街中で拉致されてしまった。
顔を隠していた何者かが、魔族だったのか人間だったのかは知らされていない。だが、その者たちは殿下たちの身柄を盾に、陛下の退位を迫ろうとした。その為に奴らは殿下の目の前で、幼かったミーミル様の身体を傷つけて脅し、彼に直筆で陛下への手紙を書かせたという。
幸い、そのことに対する王家の対応は迅速で、烈火のごとく激怒したベルケンド陛下と国民たちにより瞬く間に不穏分子は取り押さえられた。しかし助け出された殿下の顔は酷くやつれ、ミーミル様の側をしばらく決して離れなかったのだ。
それから殿下は、極端に人を遠ざけるようになってしまわれた。いつも気さくで下々のものにも優しく触れ合えど、公務を除き決して城外には誰も連れ歩かないし、家族とも触れ合わなくなった。そしてそれは今も続いている――……。
ベッカーの、血の色を感じさせる赤い瞳がこちらを捉えた。
顔を隠していた何者かが、魔族だったのか人間だったのかは知らされていない。だが、その者たちは殿下たちの身柄を盾に、陛下の退位を迫ろうとした。その為に奴らは殿下の目の前で、幼かったミーミル様の身体を傷つけて脅し、彼に直筆で陛下への手紙を書かせたという。
幸い、そのことに対する王家の対応は迅速で、烈火のごとく激怒したベルケンド陛下と国民たちにより瞬く間に不穏分子は取り押さえられた。しかし助け出された殿下の顔は酷くやつれ、ミーミル様の側をしばらく決して離れなかったのだ。
それから殿下は、極端に人を遠ざけるようになってしまわれた。いつも気さくで下々のものにも優しく触れ合えど、公務を除き決して城外には誰も連れ歩かないし、家族とも触れ合わなくなった。そしてそれは今も続いている――……。
ベッカーの、血の色を感じさせる赤い瞳がこちらを捉えた。