【WEB版】追放したくせに戻ってこい? 万能薬を作れる薬師を追い出しておいて、今さら後悔されても困ります! めでたく婚約破棄され、隣国で自由を満喫しているのでお構いなく
「殿下はあの日、大切な者を失う恐怖を胸の中に刻み込まれてしまったのだ。事件から数年経とうとその傷は未だ癒えてはいない。だから我輩は、お前を褒めたのだよ。お前は殿下に素直な感情をぶつけられるほど心を開かれているのだ」
「わ、私が……!?」
昔語りから戻ると、急にそんなことを言われた私の頭はパニックに陥り、どうにか引っ張り出したのは言い訳めいた言葉だ。
「ち、違うでしょ! 殿下はたまたま、私が彼を庇ったり陛下を助けたことで恩を感じてて、それを律義に返そうとしてくれてるだけで……」
「まあ、それもあるがな。しかしそれを差し引いても、気に食わない奴ならわざわざ傍に置いて連れ歩くような御方ではないさ、あの方は」
「そ、そうなのかな」
そこでどうしてか、街を巡った時の殿下の笑顔が蘇って、私の顔に血が上る。確かにあれは、作り物の笑顔では無いのではないかと、私だって思うし、思いたいけど。
「わ、私が……!?」
昔語りから戻ると、急にそんなことを言われた私の頭はパニックに陥り、どうにか引っ張り出したのは言い訳めいた言葉だ。
「ち、違うでしょ! 殿下はたまたま、私が彼を庇ったり陛下を助けたことで恩を感じてて、それを律義に返そうとしてくれてるだけで……」
「まあ、それもあるがな。しかしそれを差し引いても、気に食わない奴ならわざわざ傍に置いて連れ歩くような御方ではないさ、あの方は」
「そ、そうなのかな」
そこでどうしてか、街を巡った時の殿下の笑顔が蘇って、私の顔に血が上る。確かにあれは、作り物の笑顔では無いのではないかと、私だって思うし、思いたいけど。